MT5はメタクォーツ社が開発するメタトレーダーの最新バージョンだ。ただ、現在では知名度、仕様者数ともに以前のバージョンのメタトレーダー4の方が上回っているのが現状だ。
「MT5を導入したいけどまだ時期尚早なのでは・・?」
「MT5とMT4では結局どっちがおすすめなのか知りたい。」
という人のために、MT5とMT4との違い、使用感、将来性について調べてみた。
MT5とMT4との違い
MT5とMT4との違いを比較してみた。
リリース2005年 2010年
動作スピード 普通 早い
時間足 9種類 21種類
気配値、ナビゲーターウィンドウ 並 わかりやすい
両建て 可能 可能
ワンクリック注文 可能 可能
ストラテジーテスター可能 可能
カスタムインディケーターの種類 豊富 並
EAの種類 豊富 少ない
アップデート回数 なし 頻繁
サポート 終了 あり
対応海外FX業者 多い 少ない
以下に主な相違点を述べる。
MT5の時間足数が多い
MT5では、MT4と比べてローソク足が12種類多い。
・MT4の時間足
M1(1分足)、M5(5分足)、M15(15分足)、M30(30分足)
H1(1時間足)、H4(4時間足)、D1(日足)
W1(週足)、MN(月足)
・MT5の時間足
MT5の時間足
M1(1分足)、M2(2分足)、M3(3分足)、M4(4分足)、M5(5分足)、M6(6分足)、M10(10分足)、M12(12分足)、M15(15分足)、M20(20分足)、M30(30分足)
H1(1時間足)、H2(2時間足)、H3(3時間足)、H4(4時間足)、H6(6時間足)、H8(8時間足)、H12(12時間足)
D1(日足)、W1(週足)、MN(月足)
ただ、時間足が多いからといって、それほどの優位性はない。
追加の時間足で詳細分析はできるものの、見ている絶対数が少ないローソク足となるので、意識している人が少なく相場自体には大きい影響はないからだ。
MT5のカスタムインジケータ、EAの数は急増中
MT5とMT4では使用できるカスタムインディケータとEAの数が異なる。
・カスタムインジケーターとは
標準搭載のインジケーター以外に、自分でカスタマイズしたオリジナルインジケーターを指す。
・EAとは
自動売買を可能にするプログラム。裁量トレードとは逆に人工知能が取引を自動で行う。
インターネット上では有料無料を問わず多数のカスタムインジケーターやEAが存在し、インストール、ダウンロードができるが、それらの大部分がMT4専用となっている。
「じゃあそれをMT5で使えばいいのでは?」と思われるかもしれないが、残念ながらMT4、MT5の間には互換性がない。
というのも、 MT4とMT5では違うプログラム言語を使っているからだ。
MT4では使用できても、MT5では動かないものが多く存在する。
MT4のプログラム言語は「MQL4」
MT5のプログラム言語は「MQL5」
のため、MT5で使用するには新しくプログラムを書き直さなければいけない。
この作業がかなり面倒なのだ。
MQL4ができて、MQL5に対応できないプログラマーは多い。
そして、わざわざ多大な手間をかけて移管するぐらいなら、メタトレーダー4のままでいい、と考えているトレーダーが大多数だったのだ。
皮肉にも、MT4があまりにも普及しすぎたのがMT5の普及の遅れを招いているのである。
動作スピードはMT5が速い
両者を比べるとMT5の方が動作が速い。後継版だから当然といわれるだろうが、MT5がでた当初はPCのスペックも低く、またMT5自体のバグも多かったため、どうしても使いづらさが目立ってしまっていた。
しかし現在ではパソコンのスペックも高くなり、MT5もバージョンアップを繰り返していることから多少スペックの低いPCでもむしろ快適に動作することができる。
MT5の気配値表示が増えた
MT4は気配値表示(取引できる通貨ペアの価格)では、「通貨ペアリスト」と「ティックチャート」のみだったが、MT5では「詳細」と「プライスボード」の2種類が加わった。
MT5対応証券会社
MT5はMT4と比べて一部の業者しか対応していなかったが、2019年あたりから対応業者が増えてきて選択の幅が広がることとなった。
現在日本語対応している業者の中でMT5が使えるのは下記の会社となる。
・XM 2017年対応。業界最大手で日本人利用率NO.1のFX業者。
・FXPro 日本語対応に難あり。
・FBS 2016年対応ハイレバレッジ3000倍が売りの会社。
・Tradeview 2019年対応。cTraderも利用可能だ。
・titanFX 2019年対応。スプレッドの狭さに定評あり。
・IFCMarkets・・InstaForex・FXOpen・Land-FX・・FXDD・GStrade
この中でのおすすめは、XM、TitanFX,LAND-FXだろう。
XMは世界中での知名度の高さ、日本人トレーダーの利用者も多く、安定性は高い。
TitanFXは、スプレッドが狭くスキャルピングをメインに行うトレーダーであれば重宝するはずだ。
MT5のみの対応業者が出てきた
逆にMT5のみでMT4の選択肢のないブローカーも出現するようになった。
・Aceforex・FXGT といったところだ。
エースフォレックスは、元々メタトレーダー4、5の両方に対応していたが、現在ではMT4を廃止しており、MT5だけしか選べない仕様になっている。
FXGTは2019年末に営業を開始した新興会社だが、スタート時からMT5のみの取引プラットフォームとなっている。
「MT5だけでMT4の選択肢がない」という流れはこれから増えてくるはずだ。
MT5のダウンロード方法について
MT5の使い方
MT4を使ったことのある人であれば、使い方については共通点も多いので、比較的MT5にはすんなりと溶け込めるはずだ。
XMでのMT5とMT4を比較すると
FX業界最大手のXMtradingでも両方を採用しているが、最近ではMT5を選ぶ人が増えてきた。
MACユーザーにも、XMはmt5 for mac、mt4 for mac、などを用意してくれており、ニーズは把握してくれているものの、正直MT4とMACの相性はあまりいいとはいえない。
例えば、macOS10.14では、MT4はインストール可能なのに、起動できないが、MT5は動作可能だ。
XMは追加口座で8つまで持つことができるので、追加でMT5を開設する人もいるし、最初の段階でMT5を選ぶ人も多い。
MT4にダウングレードしたくなったとしても、追加口座で改めてリアル口座開設するだけだからとても簡単にできる。
MT4をダウンロードしてもMT5になる問題
MT4をインストールしようとしても勝手にMT5になってしまう問題が報告されている。
これは、メタクォーツ社の公式ウェブサイトにて発生する問題だ。メタクォーツ社は新型のMT5の普及を目論んでおり、なるべくMT4のダウンロードを行ってほしくない事情がある。
そこで、MT4のサイトにもMT5のダウンローダーを配置し、MT4がダウンロードできないような仕様にしているのだ。正直こういったやり方は騙しリンクのようで、公式サイトが行うべきではないのだが、実際にダウンロードはできないのでどうしようもない。
解決策としては、
XMやGemforexのMT4ダウンロードページから直接行えば大丈夫だ。
MT4をMT5に変換する方法
MT5を使いたい、でも今までのMT4のインジケーターもあるし・・
という人には「MQL5コンバーターβ版」を使うという手もある。
これはMQL4ソースをMQL5ソースへ変換するツールだ。これを使うことで、MT4のEA、インジケーターがMT5でもそのまま使えるようになるのだ。
MQL5コンバーターの使い方は、MQL4ソースファイルをペーストして「コンバート」ボタンをクリックするだけで自動的にMQL5ソースに変換するという優れものだ。
「コンバート」ボタンをクリック→、「MQL5」ボタン「include」ファイルボタンを押してファイルをダウンロード。
converter.mq5は「Experts」フォルダ、MQL5Converter.zipは解凍後に「include」フォルダにコピー。その後MT5を再起動、またはナビゲータウィンドウ内の「エキスパートアドバイザ(EA)」を右クリックして「更新」をクリックしてコンパイルが完了する。
includeフォルダは先にコピーしておかないとコンパイル時にエラーが出るので注意しよう。
MT4とMT5の違い(スマホ編)
Androidやiphoneを使っている人は、スマホアプリでのトレードを行うことも考えているだろうが、そのスマートフォンアプリでもMT4とMT5は違いがある。
・インディケータウィンドウのサイズ調整
MT5ではインジケータウィンドウのサイズを調整して変更することが可能だが、MT4ではこれができない。
MT5では、インジケーターウィンドウの境界を長押ししてサイズ変更をすることができる。
特に、複数のインジケーターを表示させる際は重要度が高いものを大きくして、重要でないものをを小さく表示されることができる。
・通貨ペアの詳細表示が違う
MT5の方が、情報量が多く、MT4は少ない。
・設定画面のユーザビリティ
MT5では、設定画面がポップアップメニューにも用意されていて使いやすくなっている。
・注文方法の数
MT4/MT5では注文方法の数が異なる。MT5の方が多い。
MT4の注文方法
ストリーミング注文(成行注文)
Buy Limit(買い指値)
Sell Limit(売り指値)
Buy Stop(買逆指値)
Sell Stop(売逆指値)
MT5の注文方法
成行注文
買指値
売指値
買逆指値
売逆指値
買いストップリミット
売りストップリミット
注文方法が増えるとともに、日本語訳され意味が分かりやすくなっている。
MT4とMT5のチャートが違う
MT5のデモ口座で試してみる
「MT4と違うMT5を試してみたい。ただいきなり入金してはじめるのは不安・・」
という人は、最初はデモ口座を使ってデモトレードをはじめてみるといいだろう。
実際に入金しないデモトレードができるので、そこで練習を行った後に、リアル口座を開設して入金してリアルトレードをはじめるとリスクも少なく安心感を持ってトレードすることができる。
まとめ
なかなか浸透しきらないMT5であったが、メタクォーツ社もいよいよ本腰を入れ始めてきたので十分にメタトレーダー5をおすすめできる。
アップデートを繰り返してバグもなく、動きもスムーズになっているうえに、公式サイトではMT5のみのダウンロード仕様となっている。
FX業者のそれに応じて扱うところも次第に増えてきているし、ユーザーの増加に伴い懸案だったインジケータの少なさも解消されている。
裁量トレーダーであれば、MT5を使い始めても不便な点はほぼないといっていいだろう。
今後はますますMT5の浸透度合いが加速していくことは間違いない。